2016/12/26
西日本文字放送でこどもの糖尿病について解説しました。
■ 二種類ある子どもの糖尿病
○1型糖尿病(インスリン依存型)
- 乳幼児期からみられます。
- このタイプは生活習慣や肥満とは無関係です。
- 家族に同じタイプの糖尿病があることもまれです。
○2型糖尿病(インスリン非依存型 成人型)
- 多くは中高年で発症しますが、最近では小児期、思春期のこどもでも増える傾向があります。
■ 1型糖尿病の特徴
- 膵のインスリン分泌細胞が自分自身の免疫によって壊れることが主な原因です。
- インスリン分泌が失われることも稀ではありません。
- インスリン注射が絶対に必要なタイプです。
- かつてはやせ型糖尿病と言われていました。
- 一般の人々にあまり知られていないのは頻度が欧米の10~30分の1と少ないためです。
■ 治療の基本は自己管理
- 上手に自己管理さえすれば普通に生活が送れ、人生をエンジョイできます。
- 治療は一日数回のインスリン注射と血糖測定。
- 血糖値を毎日測ってインスリン量を調整します。
- 低血糖予防も大切です。血糖が低いと感じたら迷わず糖分を摂取します。
■ 意外に新しい治療の歴史
- 1920年:初めてインスリンの抽出に成功
- 1922年:カナダでインスリン治療が始まる
- 1950年:長く効くインスリンの開発に成功
- 1974年:日本で小児の医療助成始まる
- 1981年:自己注射が健康保険適応に
- 1991年:血糖自己測定も保険適応に
■ 成人型糖尿病が子どもにも
- このタイプでは、なりやすい体質が大きく関与しています。
- 近頃、子どもの肥満が増えていることに関連して、学童期以降、中学生ぐらいから発症が増え始めます。
- 食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの生活習慣の変化がその背景にあります。
- 治療はふつう、食事・運動療法と飲み薬になります。
■ 2型糖尿病(成人型)の予防は幼児期から
- 戸外で活発に遊ぶ習慣をつけましょう。
- よい食習慣で肥満を防ぐことも大切です。
- 早期発見のため1993年から学校検尿で尿糖検査が行われています。
- ふつうは無症状。でも、放置すれば知らぬ間に合併症がおこることが少なくありません。発見されたら必ず定期的受診を心がけましょう。